Archive for 講演会

研究会設立5周年記念講演会

1.趣旨 研究会立ち上げから5年を経て会員数も100名を超えております。

こうした節目を迎えて半田正夫先生をお迎えしてご講演をいただきます。

2.日時 平成24年8月31日(金曜)
開催時間 午後6時から8時30分
3.会場
会場名 青学会館レストラン フィリア
所在地 東京都渋谷区渋谷4丁目4番25号
電話  03(3409)8181(代表)
交通便 銀座線・半蔵門線・千代田線下車 表参道駅下車5分
4.科目
「著作権の明日」(仮題)
5.講師
半田正夫先生(法学博士 青山学院大学名誉教授)
6.会費 5000円
7.定員  25名(先着順)
8.申込方法
8月27日までに氏名・支部名を明記の上、e-mailにてお申し込みください。
当日キャンセルの場合は、会費をご負担頂きます。
9.申込先
著作権ビジネス研究会事務局:大塚大(世田谷支部)houmu@pc.nifty.jp

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講演会

「『著作権法概説14版』刊行によせて 著作権法の現状と展望」
~著作権ビジネス研究会1周年記念講演 開催報告~
練馬支部 津嶋 健

平成21年7月9日(木)午後6時から青学会館アイビーホール4階クリノンにて、著作権ビジネス研究会の一周年を記念して、青山学院行政書士会と共催で半田正夫博士をお招きして記念講演会が開かれました。
半田正夫博士は、我が国の著作権法の泰斗であり、現在、青山学院院長代行職を務められています。
講演は、ご自身が著作権法の研究をするにいたった経緯、並びに著作権法の置かれている状況、その問題点等についてユーモアを交え、平易な言葉で語られました。1時間ほどの講演でしたが、30名弱の参加者は、時に笑い、時に頷きつつ聴き入っていました。
講演の後、若干の質疑応答が行われ、その後、同会場にて後懇親会へと移りました。
以下、講演の内容を抜粋します。
1. 著作権法を研究対象としたのは・・・
半田博士は、北海道大学の助手時代、五十嵐清教授の下で民法の研究をなされていました。しかし助手論文のテーマを何にするか随分と悩まれておられたそうです。当時は我妻榮教授の大著「民法講義」が民法の諸論点につきほぼ席巻しており、果たして我妻民法を凌駕する論文を書けるのかと眠れぬ日々を過ごすほど悩まれたとのことでした。
ところがそんなある日、北大図書館へ行ったときに、書棚の一角でひときわ明るく輝く書物が目に飛び込んできたそうです。手に取ってみると、それが何とウルマーの著作権一元論に関するものでした。まさに天の啓示。「・・・と思ったのですが、白い表紙で誰も手に取らなかったから白いままで目立ったのでしょう」との落ちで、会場は笑いの渦でした。
しかし、この著作との出会いが契機となって、助手論文「著作権の一元的構成について」が生まれたのですし、民法理論を著作権の視点から研究するという半田博士独自の視座が獲得されたのですから、やはりこれは著作権法の世界にとって天佑と言うべきではないかと感じた次第です。
2. 著作権法の現状
現在の著作権法ができたのが昭和45年で、以後現在まで17回も改正が行われています。これほど頻繁に改正がおこなわれたのは、著作権にかかわる分野で機械技術の進歩が著しく、特にデジタル時代の影響を強く受けたからです。当初コンピュータ・プログラムをどこで保護するかということが、当時の文部省と通産省の間で大論争になりました。結局これは著作権法で保護するということになったのですが、その後のデジタル技術の発展、それに伴ういろいろな機械、技術、それが全部コンピュータ・プログラムがらみです。それを全部著作権法で抱え込んだために、その後に起きた問題(録音や録画の技術などの進歩)もすべて著作権法の方で処理しなければならなくなったわけです。従ってはなはだしいときは毎年改正を行うという時もありました。このように著作権法自体が、接ぎ木に次ぐ接ぎ木状態ですので、現在は、全体的にかなり大きなゆがみができていると考えられます。半田博士の「著作権法概説」が今回第14版と版を重ねたのも、まさに著作権法の改正が頻繁に行われたためと言えます。
したがって著作権法はそのまま存続させ、別建てでデジタル技術を前提にした著作権法を作るべきではないかと、今までにも文化庁の方へ申し入れているのですが、なかなか根本的な改正、あるいは新法の制定というのは難しいようで、現在もめどは立っていないようです。
 結局アナログ時代に作られた著作権法からデジタル時代の著作権法へと変化していく状況が現在も続いているのです。
3. 著作権法の展望
まず保護期間の延長の問題があります。かつては死後30年というのが世界的な考えでありました。これは人間の寿命と関係があるようで、著作者が著作物の代価により自分の最愛の子供の生計を立てたいというところから、決まったようです。その後、寿命が延びたせいか死後50年になりました。ベルヌ条約では最低死後50年ということで、それより長い期間とするのは構わないということです。
ところが最近、先進各国では死後70年保護するところが増えました。これは戦後ドイツが死後70年としたのですが、EUに加盟することと相まって法律などもなるべく一致させようという観点から統一が図られたのです。しかし、70年を短縮するというのはやはり難しく結局他の国々が死後70年へと延長することになったのです。
アメリカはまた別の政策的意図から保護期間を延長しました。それはアメリカの産業構造とも関係するのですが、ディズニー等のキャラクターもの、映画、音楽による外貨獲得を保護しようということで死後70年としたわけです。
わが国も70年にすべきだとの主張がかなり強くなってきています。ただ反対意見もありますので、映画を除いてですが、今のところ死後50年にとどまっています。しかし映画だけ70年というのは統一感が取れないので、いずれは他の作品も70年の保護期間へと移行するものと思われます。
ただ、現在のように情報の伝達速度が速く直ちに世界中に広まる状況の下では、余りにも長すぎるのではないかとの疑問にも十分な理由があると思われます。たとえば20歳のときに作品を作り80歳まで生きると60年間保護されます。その後70年と言うと130年も保護が続くのです。これは、著作物が先人の文化遺産を基にしており、一定期間の保護の後はその作品もまた文化遺産となることに鑑みれば余りにも保護に比重を置きすぎているのではないかと思われるからです。
次にフェアユースの導入の問題です。
これは英米法の考え方で、公正な使用であれば著作権の侵害に当たらないとの条項を設け、その具体的内容は判例に委ねるというものです。わが国は大陸法系の影響を強く受け著作権の侵害に当たらない場合を30条から50条にかけて細かく規定しています。このように成文法主義を取る利点は予測可能性の担保ができることです。しかし、それは制定時の社会的背景、国民の考え方等を前提としていますから、進歩の速い著作権の分野でそれらの立法事実が失われてきたときには実情と齟齬をきたすようになってしまうことを否定できません。若手の企業家が新しい事業を開発した場合に著作権法が付いていけず枷になってしまう可能性があります。かといってアメリカ流のフェアユースの条項を設けよというのも、裁判所の負担、法的安定性の担保等の観点から難しいようにも思えます。
半田博士は企業法は企業法で別の法律を作っていくべきではないかとの考えを述べられていました。
4. 質疑応答
1時間弱の講演が終わった後で、「保護期間満了した著作物の利用と著作者人格権の関係」「Google Book問題」などいくつかの質疑応答がなされ、その後同会場で懇親会が行われました。会場は和やかな雰囲気で、あちこちで談笑の花が開いていました。
(追記 なお、半田博士は、7月25日に新刊「著作権の窓から」(法学書院)を刊行されておいでです。)

東京都行政書士会月刊誌「行政書士とうきょう」2009年9月号掲載

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